6月のある日、樹海を案内してもらうことにした。
古い友人の写真家に。
ところが、彼は転んで顎の骨を折り退院したばかりでお弁当が食べられない。
でも、快く樹海へ行こうと言ってくれた。
前置きが長いけど
樹海へ行く前夜、同行する根付師と若い女性の写真家(以後、Yちゃんと呼ぶ)から
夫に呑みに行こうという誘いがあって、
夫とYちゃんはべろんべろんのグデングデンに。
明日の運転はワタシかよっ・・・と覚悟はした。
まずは
桧の原生林に入る。
樹海は溶岩の上にあるので、桧の根は横に広がる。
で、歩きづらい。本当に歩きづらい。
案内人の写真家(以後、Z氏と呼ぶ)から
トレッキングシューズとストックを用意の事と言われたが
ホントにぃ?と思いながらも購入したが、必需だった。
Yちゃんは緑青腐菌を探していて、大騒ぎをしている。
青い朽ち木を見つける。
Z氏とYちゃんは共に写真家であるので、写真を撮り続ける
ワタシの後ろには根付師(以後、Aちゃんと呼ぶ)が見張っていて
何かあったら、何とかするから大丈夫だと言ってくれた。
夫は先頭をひょうひょうと行くが、一度も来たことがないのに大丈夫か。
と思っていたら、案内人のZ氏に
「そっち行くと迷うよ」と言われていた・・・。
桧の原生林・・・
この言葉を聞いただけで、厳粛な気持ちになるが
中に入ってみると、もしかしたら来てはいけなかったのではないかとも思った。
圧倒的な存在の大気。
やがて、何ものかに包まれているような感じがしてくる。
森に許容されたのだろうか。
分からない・・・・・・・・・。
車の通る道に戻り、チョット下の西臼塚と言うところへ行く。
前にも西臼塚は来たことがあり、なぁんだと思っていたら
Z氏に案内されたところは、前来たところとは違って
なんて美しいところなんだろう。
さっきまでの原生林とは違い、人の手が入っていると思う。
下草は刈られているように思える。
ん?と足を止める。
この森から出る直前だった。
Z氏に「朴の木だよね?」と問う。Z氏は「是」と答える。
しかし、葉は一葉しかないし、小指ほどの太さで、50㎝くらいの高さで
実生?
朴の木は、いつでも大きくて太くて見上げるしかないのに
この仔をワタシは見下ろしている。
考えてみれば、当たり前のことだ。
けれど、なかなか脳は納得してくれないのだ。
朴の木を見下ろすことに、仰天しているワタシがいた。
山の気は神聖に思えた。
二日後、朝霧の放牧地帯を歩くことになるとは・・・
それはまた次の話し